【この人物のオモテとウラ】大嶺祐太(八重山商工―ロッテ)
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在京球団のベテランスカウトが言う。
「こういうケースが一番やりづらいんです。表面的には純真さを見せながら、裏ではえげつない要求をしてくる。ロッテさんもここまでこぎつけるのは大変だったでしょうね」
先日、沖縄・石垣島でハデな“入団披露”をやってのけた八重山商工の大嶺祐太投手(18)のことだ。
ロッテはドラフト1巡目で指名したこの大嶺に散々かき回されてきた。指名の記者会見では、がっくりと肩を落とし、涙まで流された。「じっちゃん、ばっちゃんにも相談しないと……」と消え入るような声で気持ちを伝えた大嶺に対して、ロッテ球団には「純真な少年の気持ちを踏みにじるなんて許せない」という抗議の電話が相次いだという。
「1巡目で指名する選手のとこは綿密に調査してますよ。大嶺にしたってソフトバンクを熱望しているけど、強行指名して交渉権を勝ち取ったら間違いなく落とせるとの勝算があったからです。向こうが要求してくる条件をどこまでのめるか、という単純なことですよ。条件には金銭とその他の待遇がありますが、この2つの条件が合意したということです」(前出のスカウト)
そうなら、大嶺サイドはえらい条件をのませたものだ。金銭面では高校生では球団史上最高の契約金1億円、年俸1000万円。背番号は希望通り「1」、ファームでは大嶺のためだけの“専任”コーチがつく。
「先日の石垣島での派手な入団披露も、ロッテが積極的に動いたというより、大嶺サイドの要望が強かったからです。高校生でただひとり、グズグズと条件闘争をしたというイメージを払拭するために企画されたもの。バレンタイン監督がわざわざ石垣島入りし、真新しいユニホームを手渡したり、2人のコンディショニングコーチを同行させたり……。そんな球団の熱意に大嶺が心から感激し、笑顔で迎え入れたという筋書きです」(担当記者) 石垣島がロッテのキャンプ地の候補にも挙がってきたというから、大嶺サイドの要求は天井知らずだ。
こんな大嶺フィーバーに地元の野球関係者がこう言う。
「八重山商工は、島の子供たちが力を合わせて甲子園出場を果たしたというので全国のファンから応援してもらえた。それが大嶺のプロ入りを巡って、いろんな生ぐさい話が聞こえてきた。大嶺は体が硬くてケガをしやすいタイプで、性格的にも我慢強さに欠けている。ちょっとつまずくとガタガタになる心配がある」
大嶺の周りの人間が、これでもかとばかりに条件を勝ち取った。その条件の一つ一つが、これからの大嶺にプレッシャーとなってハネ返ってくる。
活躍すれば無問題。頑張れ大嶺。