マリーンの風 ホスト役に徹したボビー
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「アメリカには優勝旅行というイベントは存在しない。しかし、これはとても素晴らしい発想だと思う。メジャーにはなくて日本にある良い文化。非常に喜ばしいことだ」
日本の文化を尊重する彼は、優勝旅行というメジャーでは聞き慣れない行事に関しての意見を球団関係者から問われた時、そう答えた。そして自らの出席を即決。よりよいものにするため積極的に意見を述べた。
バレンタイン監督にとっての優勝旅行というイベントの意義。それは長いシーズンを影で支えた裏方への慰労、そして選手を含めたチーム全員の家族に対する感謝の気持ちを表すことだった。だからこそ、バレンタイン監督はいつも以上に陽気な姿勢に徹していた。そこには「この旅行の期間は一年間頑張ってくれた部下たちのために尽くそう」という気持ちが込められていた。初日に行われたパーティーでは、20以上あった、すべてのテーブルを回り、全員に声をかけて回った。
「あなたの夫はよく頑張ってくれた。だから、今年は優勝できた。本当に最高の仕事をしてくれた」
選手の家族には最高の賛辞を送った。この言葉で長いシーズン、家を守ったその妻、そして子供たちも報われた気がしたはずだ。
写真撮影を頼まれれば気安く応じた。また、自らが、ステージに上がり、踊ることで場を盛り上げた。そこにはホスト役に徹しようと必死になる日本一監督のけなげな姿があった。
旅行の最終日。指揮官はもう1泊する日程だったにもかかわらず、早朝のロビーに姿を現した。そして「楽しんでくれたかい?また来年、頼むね。また、みんなで旅行に行こう」と一人一人に声をかけてまわった。そしてバスの出発を見守り、手を振り別れを惜しんだ。
このバレンタイン監督の姿勢に誰もが感動を覚え、この人のために来年も尽くそうと改めて心に誓ったはずだ。短い優勝旅行だったが、12球団屈指の団結力を誇るとされる千葉ロッテマリーンズはさらに、その家族をも含め、強く結束した。みんなの思いは一つ。来年も、またボビーを胴上げしよう、だ。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
ボビーは本来目立ちたがり屋。