マリーンの風 人生変えた「先憂後楽」
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「ある時突然、両親がこの言葉が書かれた紙を送ってくれたんです。知り合いの人に『いい言葉だから息子さんに伝えてください』と言われたらしい。オレもこの言葉を見て感じるものがあった。いい言葉だと思った」
入団1年目、まだ駆け出しの頃。つらく苦しい2軍生活が続いていた西岡の元に両親からメッセージが届けられた。意味は「若いうちに努力を惜しまなければ、後から楽になる」というもの。当時、18歳の若者にも、この言葉が伝えようとしていることの大切さが理解できた。漢字にして、たった4文字。しかし、この言葉の持つ奥深さと魅力は計り知れない。そしてそれ以来、若者は言葉の通り実践すべく、日々を過ごし始めた。
「最初はいつも忘れないようにと帽子のツバにペンで書きました。もちろん部屋にも一番目立つところに張って、寝る前、朝起きる時に自分に言い聞かせた」
今でもリストバンドにはこの文字が刺繍(し・しゅう)されているし、4月に立ち上げた自身のホームページ(http://www.tsuyoshi-7.com/)のメーン画面にも大きく文字が躍っている。それほど、西岡にとっては大切な言葉なのだ。
「高校を出たばかりの若い頃は、やはりどうしても楽をしたいと思ってしまう。しかし、そこであの言葉を思い出して思いとどまる。今、練習しないと後でつらい思いをすると思うと不思議と頑張れる。言葉がボクを励ましてくれた」
西岡は試合後もよく特打ちを行う。それは別に不振の時に限ったものではない。疲労がたまっている時も黙々とバットを振る彼の姿を見かける。そして次の日、結果が出る。今の彼があるのもそんな日々の積み重ねからである。
言葉との出会い。西岡は一つの言葉と出会ったことでその後の人生を大きく変えたといっていいかもしれない。一つの言葉との出会いが若者の将来を良い方向へ導くことが出来る。言葉は偉大だ。先憂後楽。いい言葉である。
(千葉ロッテマリーンズチーム付き広報 梶原紀章)
いい親御さんだ。