待望の4番 ズレータ
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197センチ、113キロの巨体から繰り出されるパワーに、他の選手は驚かされるばかりだ。捕手の里崎は苦笑いしながら「何がよかったって、今年からズレータを相手にしなくて済むのがね」。
一昨年の日本一チームは昨季、打撃不振に泣いた。チーム打率はリーグ最低の2割5分2厘。得点も05年の740点から502点と大きく減少した。中軸の福浦、ベニーがケガで戦線を離脱。残る選手では太刀打ちできなかった。
そこに日本での4年間で打率2割9分1厘、122本塁打、333打点の実績を持つズレータが加わった。「必ずやってくれるだろう」とバレンタイン監督。その一方で、不安もないわけではない。
昨季は05年より打率で4分近く、本塁打も14本下回った。原因は徹底した内角攻め。死球を受けて相手投手を殴り、出場停止処分も受けた。
今季も厳しく攻められることは間違いないが、対策は立てている。その一つがヘルメットに取り付けたフェースガードだ。内角球に対してしっかり踏み込めるようになり、「自分の打撃ができるようになった」と自信を見せる。
ズレータの加入で長年の問題だった「4番不在」は解消する。とくに大きいのはベニーと里崎の負担が軽減することだ。昨季46試合で4番を打った里崎は「6、7番あたりで楽に打たせてもらえれば」と話す。
ズレータが指名打者に入り、ベニーが左翼に回ることで、外野の定位置争いも激しさを増してきた。サブロー、大松、竹原、大塚、ワトソンらが横一線。打撃練習で打ち込みを続け、首脳陣にアピールする。
練習の合間に西岡らとふざけ合うなど、すっかりチームに溶け込んでいるズレータ。「このチームは自分の家族だと思っている。素晴らしいところに来てよかったよ」。日本一奪回へ、この男のバットが命運を握る。
マジでズレータが来てくれて良かったよ。