田中vs大嶺 雨で中止もスライド先発
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ナインの視線が痛かった。三塁ベンチ奥の通路。パイプイスに座った“雨男”田中は泥で汚れたスパイクを脱ぎながら、すねるように弁解した。
「朝からみんなに何回も言われた。僕は何も悪いことはしてないじゃないですか。僕は最後まで投げるつもりだった」
また、雨だった。沖縄・久米島キャンプではフリー打撃初登板が雨で室内練習場に変更、紅白戦初登板も雨で1日延期になった。実は1月8日の入寮も雨の中。選手会長の高須には「百発百中だな」とからかわれた。
それでもマー君は期待を裏切らない。試合開始予定から10分後の午後1時10分に流れた中止決定のアナウンス。ファンの悲鳴が次の瞬間、歓声に変わった。「あす午後1時より練習試合を行います。先発は楽天・田中投手、ロッテ・大嶺投手です」。ロッテ・バレンタイン監督が野村監督に“再戦”を打診。幻に終わったかに思えた新人対決のスライドが決まった。
「スターが米国に行ったから(田中は)パ・リーグの予告先発で唯一、客を呼べるスター。オレは予告先発反対派の監督だけどな」。予告先発撤廃論者の野村監督も田中に限り“容認”。チケットの払い戻しを待つ約8000人の観衆も、観戦無料のチャンスが生まれれば混乱もなかった。
非公式な“デビュー戦”となるが田中に異存はない。「試合ができるので大丈夫。スライド?高校時代に何度もやっている」。記録に残らなくても記憶に残る快投を見せる。
<ロッテ 大嶺、帰郷日程変更して登板へ>
初登板が雨で流れたロッテの大嶺は「残念だけど仕方ない。投げたかったので残ることにしました」と話した。本来は25日に実戦デビューを果たし、翌日は学校行事出席のため石垣島へ帰る予定だったが、帰郷日程を変更して、26日の練習試合にスライド登板する。石垣島から応援団が石垣牛20キロ、八重山かまぼこ10キロなどを差し入れたが、26日は祖父母、伊志嶺監督が所用のため帰郷予定。大嶺は「見せてあげたかったけれど、公式戦の初登板もある」と意気込んだ。
雨天中止でこんなにニュースになるのが凄い。