マリーンの風 失敗への対処こそ大事
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「失敗をすることを恐れてはいけない。野球では3割バッターで一流とされる。つまり、7割は失敗をしているのだ。大事なのは失敗へのアプローチであり、失敗をしたときにその教訓をしっかりと生かせるかどうかだ」
バレンタイン監督が常日頃から主張していることもあり、千葉ロッテマリーンズの選手は、失敗を恐れていないようなプレーが随所に見られる。そして失敗をしたときに、しっかりと反省をし、次に生かしている。
失敗へのアプローチ。それは監督自身、失敗を生かしているからこそ、実践出来るのである。2年連続の優勝を逃した昨年。千葉ロッテマリーンズはこの失敗という現象に対する対処法をすっかり忘れてしまっていた。バレンタイン監督がこのことに気がついたのはシーズン終盤。大いに後悔し、二度とこのようなことがないよう、07年は口酸っぱく説いているのだ。
「去年の選手たちは最後の結果ばかりを考えていた。つまり、優勝をしたい。試合では、負けたくない、勝ちたいと考える。本来はそれだけではダメだと思う。目先の1球に集中しなくてはいけない。勝ちたいではなく、次の1球をどうすべきなのか。それに集中するべきだった。それなのに『勝ちたい』、さらには『優勝したい』という気持ちだけで、打席に立ち、マウンドに上がっていた。私は選手たちのそういう思考をなかなか見抜くことが出来なかった」
05年にアジア一の称号を受けた。そのことで、選手たちの気持ちの中に、知らず知らずのうちに変化が出てしまっていたかもしれない。それまでは目先の1球にのみ集中できていた。だが、いつの間にか、「大きな目標を達成するため、失敗しないようにしなくてはいけない」という気持ちが生じ、頭の大部分を占めるようになっていた。そうしたことでプレーに硬さが生まれ、いつしか泥沼にはまってしまった。バレンタイン監督は06年をそう分析し、反省した。
今、千葉ロッテマリーンズは目先の1球のみに集中している。そして失敗を決してマイナスとはとらえず、成長への過程、とプラスに考えるようになっている。だからこそ、すべてのプレーに活気があり、選手の表情は生き生きとしている。その結果が、現在の成績につながっているのではないだろうか。失敗という現象を大切にしているチーム。それがバレンタイン監督率いる千葉ロッテマリーンズだ。
ボビーは名将。それは間違いない。