ローズが火付け大乱闘3人退場
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“退場王”の強烈な一撃が史上5度目の珍事に発展した。オリックスのタフィー・ローズ外野手(38)は17日のロッテ戦の3回の打席で、清水の投じた内角球に激怒。捕手・里崎にパンチを浴びせ、自身のプロ野球記録を更新する11度目の退場処分を受けた。これがきっかけで両軍入り乱れる大乱闘となり計3人が退場となる異例の事態に。警告試合として再開された試合は結局、延長12回の末、痛み分けに終わった。
≪史上5度目…≫
試合後も怒りは収まっていなかった。今季2度目、通算11度目の退場処分。ローズは何を聞かれても無言のまま、険しい表情で球場を後にした。
3回1死だった。ロッテの先発・清水の初球、143キロ直球がローズの胸元を襲う。反り返ってよけたローズは捕手・里崎をにらみ「危ないやろ」とクレームをつけた。里崎が「全然危なくないやろ」と返すと両手で顔面に殴りかかり、倒れた相手にパンチ、キックの雨を浴びせた。ロッテ・バレンタイン監督もグラウンドに引き倒されるなど、両軍入り乱れての大乱闘。怒号、ブーイングが飛び交う雨の千葉マリンは修羅場と化した。
ローズに加えディーバス打撃コーチ、ロッテの高橋走塁兼一塁ベースコーチも暴力行為で退場処分。3人同時退場は04年7月19日の近鉄―ロッテ戦(大阪ドーム)での近鉄・バーン、ロッテのベニーとセラフィニ以来、史上5度目だ。約6分間の中断後、良川球審が警告試合を宣告して試合は再開されたが、不穏な雰囲気は漂い続けた。
まさに“瞬間湯沸かし器”だ。ローズは、里崎のユニホームを引き裂くほど怒りをあらわにした。伏線は初回、ラロッカへの2戦連続死球。そのラロッカは3回、一ゴロに倒れた際にベースカバーに入った清水に“体当たり”。ロッテベンチから「何やってんだ!」との声が飛び、一触即発ムードは高まっていた。
ただ、里崎が「もう少しでストライクの球。あれが危ないというのならバッターボックスに立てない。理解に苦しむ」と言い、良川球審も「怒るような球じゃない。里崎は挑発的なことは言っていない」と振り返ったように、非はローズにあったのは否めない。暴力行為により、数試合の出場停止処分が科される可能性は高く球宴出場も微妙な状況。遺恨試合となる18日の前半戦最後の一戦を前に、後味の悪さばかりが残った。
▼オリックス・ディーバス打撃コーチ(乱闘で左ほおにあざ、あごの右側に擦り傷)
よく分からない。こんなことがあるかもしれないのが野球。退場?アメリカでは時々あった。
▼オリックス・長村球団本部長補佐
審判団からは「里崎は何も言ってない。聞こえませんでした」と説明があった。球宴出場?それはあしたになってみないと分からない。
▼ロッテ・バレンタイン監督
ローズは自軍の投手がうちの打者に死球を当てないのが不満だったのでは。ただ、あの乱闘は起こるべきものではなかった。
▼ロッテ・清水
危ない球じゃない。当てて塁に出すのは避けたいし、当てる気はさらさらない。細心の注意をしながら投げたいし、ローズはいいバッターだしインコースは突かないと。
◆警告試合
報復および乱闘行為などを未然に防ぐため、危険なプレーを行った選手とそのチームの監督を退場させることができる試合。審判団が宣言し、その後は理由の有無を問わず対象選手または該当球団の監督に退場を宣告することができる。今季は5月19日楽天―ロッテ戦、同27日阪神―ロッテ戦、6月10日ヤクルト―楽天戦などが警告試合となった。
あんだけの乱闘があったのに、打線に火が付かないのがロッテらしい。