橋本清「星野ジャパン 日の丸戦士の誓い」 最高勝率左腕は代表でもすっかりオモチャにされて…
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来月1日からのアジア予選が近づくにつれ、宮崎での日本代表最終合宿も徐々に緊張感が高まっています。でも、彼の周りだけは別。成瀬のいるところ、常に笑いが絶えない。誰かしらがちょっかいを出し、すぐに砕けた雰囲気になるのです。
「いや、ヤバイですよ、あの人の腹は」
1歳年下のダルビッシュ(日本ハム)が口火を切ると、ロッテの先輩・渡辺俊介がすかさず追い打ちをかけます。
「おまえ、いくつだっけ? 22歳!? もう老化が始まってるよ。オジサンにしか見えねえよ」
そこへ参戦してきたのが、こちらもチームの先輩選手、サブローです。
「しかし、おまえも可哀想だな。ダルビッシュと変わらない成績を残したのに、向こうは全国区のスターになって、おまえはなあ。もうちょっと顔とスタイルが良ければな、人間はやっぱり顔だな。だって、おまえ、(双子のお笑い芸人の)ザ・たっちとソックリやもん」
もう、めちゃくちゃですが、聞いている本人はニコニコ。自ら、「そうなんですよ。実はたっちって三つ子なんですよ。ボク、地元(栃木)が同じだから、知ってるんです」とネタを提供して、笑われ役に徹している。この成瀬が代表チームの実にいいムードメーカーになっているのです。
「でも、むっちゃくちゃ緊張してるんですよ。周りのメンバーを見回したら、ホントにボクがここにいていいのかな、と。きょうは上原さん、藤川さん、(渡辺)俊介さんと並んでピッチングですよ。いやあ、めちゃくちゃ緊張しました」
●「星野監督は渡辺監督に似てる」
プロ初勝利を挙げた昨年の5勝を自信にして、今季は大ブレーク。16勝1敗と驚異の勝率.941をマークして、防御率1.82で初のタイトルを獲得しました。日本球界のエースにのし上がったダルビッシュに勝るとも劣らない成績を残し、星野監督の期待も大きい。
「星野監督とは個人的にお話はしてませんが、ミーティングなどで聞く声や考え方、雰囲気、すべてが(母校の)横浜高の渡辺監督にダブるんですよね。余計に身が引き締まる思いです」
わずか3試合で雌雄を決するアジア予選には、14人もの投手が選ばれています。チーム事情から成瀬には、中継ぎ登板も予想されます。神戸合宿中に行った社会人・近畿選抜との練習試合では、2番手で登板。2回を無失点に抑えましたが、本人は戸惑いを感じたようです。
「リリーフの調整の仕方が……。練習試合でもブルペンで70球も投げてしまい、調子がつかめませんでした。もちろん、先発をやりたい気持ちはあります。頑張ってアピールしていきます」
宿舎では、大好きなテレビゲームでリフレッシュしているという成瀬。藤川や涌井(西武)らと大いに盛り上がっている野球ゲームでは、グラウンドとは一転、先生役になって大きな顔をしているそうです。
「オタクだ、って言われちゃうんですけど」
苦笑いするムードメーカーの成瀬が、代表チームの貴重な存在になり始めています。
成瀬可愛すぎるぜ。