橋本清「星野ジャパン 日の丸戦士の誓い」 「見ててください。予選では何かやらかしますから(笑い)」
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宮崎でも何度か食事に行きました。同じ大阪出身だからか、「清さん、清さん」となついてくれる。リーグを代表するリードオフマンにして、イケメン選手。今時の若者らしく、普段は良くも悪くも「軽い」のですが、日の丸のユニホームに身を包んだ西岡は、さすがに表情が違います。
「WBCのときとは、また身の引き締まり方が違いますね。あのときは正直、目立ちたい、自分の存在をメジャーにアピールしたい、そんな気持ちもあった。それが自分のモチベーションにもなっていた。でも、一発勝負の五輪は特別。プレッシャーはあるし、やっぱり気合が入ります」
カルビをパクパクとほお張りながらも、口から出るのは野球のことばかり。日本代表の自覚が西岡の背骨にも太い芯を入れています。
「今年、2度目のゴールデングラブ賞をいただいた。前回はセカンド。ショートとして認められたのは、本当にうれしい。初めて打率3割(・300)も打てたし、自信になりますね。代表では、試合に出られれば1番とか9番とか打順をいろいろマスコミには書いてもらってますが、ボクは最も大事なのは2番だと思っている。経験上、特に短期決戦では1番より2番打者の存在がモノを言う。送りバント、エンドラン、右打ち……。いろいろな制約の中できちんと仕事をする。2番打者の働きが打線に勢いをつけるし、その逆にもなる。この合宿でも、オレが2番を打つ、という意識で練習に取り組んでいるつもりです」
●「アライバ」とのレギュラー争い
14日にアジアシリーズを制した中日勢が代表合宿に合流。日本一といわれる荒木、井端の二遊間はレギュラー争いの強力なライバルになります。
「ライバルだなんてそんな……。そういう意識はない。五輪の代表に関しては、全員が仲間という意識。それに、井端さんと荒木さんの二遊間、あれはスゴイと思う。いろいろな話を聞いて、吸収できればいいですね」
そう謙遜しつつも、そこはパ・リーグのゴールデングラブ賞、チラリとプライドものぞかせます。
「でも、ムネさん(川崎=ソフトバンク)とはもう、アイコンタクトじゃないけど、息が合ってますから。なんか、波長が合うんです。なんの打ち合わせをしなくても、スッと(二遊間の動きに)入っていける。WBCのときからそうでした」
予選の本番では、荒木―井端のアライバコンビか、西岡―川崎のイケメンコンビのどちらが、二遊間のポジションを取るのか。密かに注目しているのですが、そんなボクの胸の内を察するように西岡はこう言いました。
「見ててください。予選では、何かやらかしますから(笑い)。変な意味じゃないですよ。西岡は何かを仕掛けてくる。相手の国にそう思わせる、考えさせるだけでも、大きなアドバンテージになりますからね」
ボクにはそれが、レギュラー奪取宣言に聞こえました。
大舞台では西岡だな。