渡辺俊、魔球封印も一発快投…「無風ドーム苦手」一蹴
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「ヒーローインタビューでいわれるまで知らなかった。でも聞かれたときは、ほっとけと思いましたよ」
快投後の札幌ドーム内の通路で、渡辺俊が思わず苦笑い。それもそのはずだ。この日の白星は、06年5月28日巨人戦(東京ドーム)以来、何と3年ぶりのドーム球場での勝ち星となったから。
「ドームが苦手なんて意識は本当になかったですよ。結構抑えていたんで。今まではドームの方が、勝てる投手を相手に投げていたからね」
千葉マリンの風を駆使して多彩な変化球を披露する渡辺俊だが、無風のドーム球場は苦手とされていた。とはいえ、事の発端は、昨季の交流戦でサブマリンを攻略した中日・落合監督が指摘したことでクローズアップされたから。それだけに「打たれたのはナゴヤドームくらいですよ。だから全然気にしていなかった」と、風評被害であることを強調した。
でも、少しは気にしていたのが実情。それゆえ、今季の自主トレからドーム対策用の“魔球”に挑戦。フォークの握りで押し出して投げると「突然、不自然に浮き上がる」というライジングボールをマスター。この日の札幌ドームでのお披露目が期待されていた。だが、フタを開けてみれば120キロ前半の直球と、90キロ台のカーブの組み合わせで日本ハム打線を相手に空転ショーを独演。
これには日本ハム・梨田監督が、「打者は緩いカーブが気になって内角の直球が速く感じたようだ。みんな記憶がいいから頭に残っちゃうんだよなあ」と脱帽。まさにあの90キロのカーブは、空転させられた者には魔球そのもの。新たな魔球などの必要性はない感じだ。
それでも、「あのボールはナゴヤ用。中日、落合さん用にとっておきます」と渡辺俊。風評被害をもたらした元締めへのリベンジに、闘志メラメラ。勝てる投手の必勝の秘密は、あくなき貪欲(どんよく)さ-ということか。
中日戦が楽しみだ。