ブラウン監督 上野口説き落とした
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誠意は十分すぎるほどに伝わった。初対面から握手、熱い説得…。約20分の会談を終えた上野は「大阪まで駆けつけてくれて、イメージはだいぶ変わった」と、感激の表情で話した。
東京でドラフトの4巡目指名が終わると、ブラウン監督は新幹線に飛び乗り、大阪へたった。日本選手権(京セラドーム)で投げる上野をナマで見るためだ。惜しくも、会場到着は試合終了後。トヨタの宿舎に引き返し、上野を待った。
会談の場にセッティングされたのは、ホテルのチャペル前の控室。その場でブラウン監督は“上野ラブ”を訴え、熱心に口説いた。
来季プレーオフは絶対使命。なくてはならない151キロ右腕に対し、「セットアッパーとして、即戦力として期待している」と最大級の賛辞を会談で伝えた。
上野は「自分の評価が思っていた以上に高かった。ブラウン監督と話してみて、今は前向きに考えたいと思う」と、話し、即日アタックが心に響いたことを明かした。
樟南高出身で、鹿児島キャンプを張るロッテが意中の球団だった。それが「当初はどうしてもと思っていた球団があったけど…」と、移り変わり。さらにトヨタ入社後、初めて公式戦で投げたのが実は広島市民球場であったことを明かし「こういうのも縁かな」と、カープ入りの運命を予感した。
ブラウン監督も上野を褒めちぎった。「彼の目つきで自信のある投手だと見える。握手してもそう感じた」。投球は見られなかったが、九回1イニングを2奪三振、ピシャリと聞いた。「体力的にも精神的にも彼は充実感がある」と、終始、満足顔だった。
この日の試合をトヨタの先輩で尊敬する阪神・安藤が観戦。試合後、ベンチ裏で「良かったな」と言われ、「同じ舞台でライバルとしてやっていきたい」とプロ入りへ思いを強くした。
24日に日本選手権の準々決勝、ホンダ戦を控えるため「まだシーズン中なので」と、決断は先になる。だが広島入りへ気持ちは確実に傾いた。
上野…、広島で頑張れ。応援するよ。