ロッテ、四国アイランドL球団買収へ
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温めていた“3軍”構想が具体化することになった。この日、千葉マリン内でのスカウト会議を終えたバレンタイン監督が「今年のドラフトでは30人くらい獲りたい。そのうちの約20人を既存のクラブチームに送って育てる」IBLJの1球団を“買収”して、来季から米大リーグでのマイナーリーグ球団のような役割を担わせる新プランを明かした。
今回の話は、財政的に苦しいIBLJ側から持ちかけられた。今月に入り、プロ野球の各球団に資本参加などの包括案を順次提示。13日には関係者がロッテ球団を訪れた。18日の午前中になり、ロッテ側が「球団を持つという形で検討したい」と返答した。
IBLJの鍵山誠社長(40)は「ロッテのマイナー球団になるのは問題ない。球界発展のために大歓迎です」と受け入れる意向だ。買い取るチームはIBLJが保有する高知ファイティングドッグスが有力で、来季から新しい形での運営を行いたい考え。年間1億円程度で運営が可能とのことで、選手育成を重視するロッテ側のメリットも大きい。
もともと、バレンタイン監督は下部組織の充実を訴えていた。現在の2軍は、けがをした1軍選手の調整として使われることも多い上、イースタンに出場できる育成選手は1試合に5人までと定められているなど制約が多いことから、ロッテはこれまで育成選手を保有していなかった。
「育てるには試合に出ることが必要だし、しっかりとしたプロに指導を受けなければならない」とバレンタイン監督は説明。今後、「球団買収」が実現すれば、大量に指名する育成選手と監督、コーチをIBLJ球団へ同時に派遣。日々、試合に出場させてじっくりと育てていく。
一方でクリアしないといけない問題も抱える。現在、独立リーグへ育成選手を派遣や、独立リーグの球団の保有を認める規約は存在しないため、12球団の実行委員会などでの承認が必要となる。育成ドラフトによる大量指名はアマ側からの反発も予想される。瀬戸山隆三球団社長は「育成選手枠という制度もあり、いろいろな角度から研究しています。プロアマ関係各所との調整も必要ですので、誠意努力していきたい」と説明。今後はIBLJ側と球団保有の形態や具体的な運営方法について話し合う一方で、実行委員会などで球団の考えを説明する。
「エリートだけでなく日本人の多くの選手がプロ野球に入ってくる機会を持ってほしい。他球団も同意して賛同してほしい」とバレンタイン監督。日本の育成システムに大きな変革をもたらす可能性もある。
◆四国アイランドリーグの現状メモ
05年4月に開幕。愛媛、香川、高知、徳島が前期、後期に分かれて90試合を戦い、年間チャンピオンシップを争う。愛媛、香川、徳島の3球団は地元企業が親会社で、高知はIBLJが保有。最近は観客動員、スポンサー収入の伸び悩みのため、経営状態が悪化。赤字額は1年目が3億円、2年目が1億5000万円とされている。今年3月には、石毛宏典社長が十分な報酬を得られないことを理由に退任し、経営から外れた。このため、同リーグの鍵山社長は「底辺拡大のため、マイナーリーグ機能のアウトソーシング(業務委託)を受けたい」とロッテ以外の球団との提携も視野に入れている。
ホークスあたりは続きそうだな。