小関順二が高校野球を語る 怪物キラー・植松優友の気迫不足
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僕が初めて植松を見たのは昨年秋の大阪大会。気迫が前面に出る内角ストレート攻めで中田を圧倒した。その植松がどんなピッチングをするのか大いに楽しみにしていたのだが、期待はもろくも砕け散った。物足りなかったのが気迫。「全国ナンバーワンのチーム力を持っている大阪桐蔭高を破り、20年に1人のスラッガーを抑えたのだから、俺は特別な存在なんだ」と勘違いしてしまったのではないか。
昨年のように挑戦者魂を発揮しなければいけなかったのに、「受けて立つ」ピッチングをしてしまった。140キロ前後のストレートも116キロ程度のスライダーも腕が振れず、置きにいっているよう。これが中田翔を沈黙させた植松なのかと俄かには信じられなかった。まず、投球フォームが躍動していなかった。そして、右肩が開く要因がないのに開いていた。開く要因とは、「始動時の体のねじれ」とか「ステップする右足が外回りする」とかである。気持ちがしっかり野球に向いていなかったと言われても仕方がない。
神村学園の勝利が決まった瞬間、第二記者席から「大阪はやっぱりPL学園でなければ甲子園で勝てない」との声が洩れた。「王国」を自負する大阪の高校野球にとっては屈辱の一声だったに違いない。
たぶんメンタルがモロに出る選手だね。間違いない。