「残りたい」浜中がタテジマ愛語る
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芝の上に頽(くずお)れても、飛躍の翼をもがれても、戦い続けられたのには訳がある。あの黒土と芝の香りを愛している。スタンドから降り注ぐ、あの歓声を愛している。
そしてこの10年間、身にまとい続けたタテジマを、愛している-。
シーズン終了後から始まったトレード騒動について初めて口を開いた浜中は、阪神でのプレー続行への意欲を問われると、迷わずこう言った。
「そらもう、それしかないです。今年は悔しい思いをしたんで」
新天地で再出発、などという思いはまったくない。復活にかける浜中は、08年シーズンを愛着あるタテジマのままで迎えられることを固く信じた。
球団は来季の覇権奪回を目指し、近年まれに見る大型トレードを計画している。その重点の一つとなっているのが先発陣。今季、規定投球回数に達した投手が1人もいなかったことを背景に、ロッテ・清水直、日本ハム・金村ら完投能力のある先発投手を獲得候補としてリストアップし、調査を進めている。
主力級の獲得には、阪神側も相応の出血を伴う。折しもロッテ、日本ハムも右の大砲獲得を目指しており、阪神からは浜中を筆頭候補としてリストアップ。今季は後背筋肉離れなどの影響で打率・193、本塁打6本と低迷したが、十分に活躍可能とみている。双方の思惑は一致。今後の交渉次第では、トレード成立も十分あり得る状況だ。
浜中はこの日、鳴尾浜球場での秋季練習に参加。ノック、フリー打撃など精力的に汗を流した。
日増しに大きくなる“雑音”は当然耳に入っている。それでも浜中は言う。
「気にしないというか、自分はやるしかないですから」。来季を見据え、視界からは「復活」の2文字以外のすべてを遠ざけている。
30日からは高知・安芸で行われる秋季キャンプに参加。復活に向けた新たな戦いが始まる。
「キャンプは打つ方だけですね。やるだけです」。タテジマ残留への最大の近道は、自身が必要不可欠な戦力であることを周囲に見せつけることにある。ならばこのバットで振り払うまでだ。白木の相棒で、すべての雑音を振り払うまでだ。
さすがデイリー。つーか普通に浜中いらないんだが。