渡辺俊“極秘出来高”の珍契約
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「代理人と球団との話し合いで、僕の知らない出来高を付けてもらいました」。渡辺俊の言葉に周囲はあ然ぼう然。その反応をよそに、当人は満足げな笑みを浮かべた。
自身を「気持ちと体のバランスが崩れると、ボールに出るタイプの投手」と分析する。今季も出来高払いは付いており「(項目が)なるべく気にならないものにした」という。だが「ちょっとでも数字を気にしたり、お金の計算をするのが嫌だった」と、複雑な心境を明かした。
そこで“隠し出来高”だ。出来高に反映される項目はおろか、出来高の総額さえ本人は知らないという異例の契約。その内容を自らが知るのは、アジアシリーズを含めた来季全日程終了後となる。
「オフの時間をトレーニングや、プライベートに使いたい」と、親交のあった大峰弁護士に自身初の代理人交渉を依頼。本人の意向を受け、大峰弁護士と球団間で3度の交渉。大峰弁護士が“隠し出来高”を提案し、メールのやりとりなどで詳細を詰めた。漏えいを防ぐための「守秘義務」が盛り込まれるなど、珍しい形の契約となった。
本多球団部部長は「一般的に球団が選手に何を望むか、選手が何を目標とするかという基準で出来高を付ける」とし、清水、西岡、小林宏、福浦など主力のほとんどが出来高払いを付け、設定した数字などを励みにしている。だが今回は「球団でも初めて」のケースとなった。
渡辺俊は「代理人交渉でしかできない契約のスタイル。僕の考えにピッタリはまった」と大満足。今季は9勝(6敗)止まりだったが「勝ち星の数ではなく、チームの勝利にこだわりたい」。3年ぶりのV奪回へ心機一転、その右腕を振るう覚悟だ。
俊介はデリケートだからなー。