俊介、本人も知らない「隠し出来高」更改
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「僕が知らない出来高を付けてもらって…。あっ、言っちゃった」。シーズン終了後に初めて条件が公開され、ボーナスを手にする仰天プランを結んだことを自らの失言で明かした。
プロスポーツ界でも例のない出来高契約だが、渡辺俊は「僕の考えるものにピッタリ。面白いですよね」と笑った。本多球団部部長も「本人の希望をくみました。細かい内容は言えませんが、納得していただける自信はあります」と胸を張った。
今年も「出来高契約」はあった。だが、出来高はモチベーションが上がる一方で「逆転され(白星が消え)たり、(防御率や登板数などの)数字を気にしたり。試合中に計算したり、お金が見えるのが嫌だった」(渡辺俊)という。シーズン中は投球のことだけに集中したいという思いから、見えない査定を希望した。
本来、クリア条件は本人と球団側が話し合って決定するもの。当初は野球に専念したいと今年から取り入れた代理人交渉だったが、第3者が入ることで「秘密査定」が実現することになった。交渉の席に着いた大峰義孝弁護士(37)は「本人が知りたくないというのは珍しい話。最高額など大まかな数字を本人に伝えようとしたら『聞きたくない』と言われました」と苦笑した。
契約内容は球団と代理人とで決めたことになる。内容は現段階では不明だが、同弁護士は「私と球団を渡辺選手が信頼してくれていましたので、その信頼にしっかり応える内容をつくろうとなった」。内容を知るのは数えるほどの人数で、「守秘義務契約」も特別に結び、違反した際には重い罰則も科せられるという。漏えい阻止に抜かりはなく、本多部長は「金庫にしっかりしまっておきます」と力強く約束した。
最長でアジアシリーズ終了まで、渡辺俊自身も知らない“開けてビックリ玉手箱”契約。ビッグボーナスを目指して、サブマリンはモチベーションを1年間維持したまま相手打者へと向かっていく。
来期は05年の再来だ。負けない俊介を見せてくれ。