【安月給選手の素顔と実力】神戸拓光(ロッテ・外野手)
|
ロッテファンは彼を「幕張のゴジラ」と呼ぶ。
オープン戦6試合はほとんどが途中出場。それでも2本塁打と快音を響かせているのが2年目外野手の神戸だ。
4日のオリックス戦は、「6番・一塁」で初のスタメン出場。第1打席は右前打、第2打席も内野安打を記録。もっかオープン戦は、13打数7安打6打点、打率.538と堂々たる数字を残している。
191センチ、98キロの巨体から放たれる打球はとにかくよく飛ぶ。2月24日の横浜戦(宜野湾)ではバックスクリーンに特大ソロを突き刺すと、28日のソフトバンク戦(福岡ヤフードーム)でも、逆転の3ランを軽々と右翼席に放り込んだ。
中学時代は龍ケ崎シニア(茨城)に所属し、投手として関東大会へ出場。高校は茨城・土浦日大高校に進学。1年の秋から4番に座り、2年から外野手に転向した。「本当はエースに育てたかったんですがね」と苦笑いを浮かべるのは土浦日大高の高野貞行監督だ。
「1年のときは、身長は188センチあったが、体重は75キロぐらい。かなりやせていたんです。当時はヒザ痛に苦しんでいたが、マウンドに上がると140キロの直球を投げた。軸になる投手もいなかったのでどうしても神戸に投げてほしかったが、走り込みができないので諦めたんです」
●ネットを越えて駐車場へ
同校の練習グラウンドは両翼91メートル、中堅120メートル。高さ1.5メートルの外野フェンスの10メートル先には、高さ約10メートルの防球ネットがある。「やせてはいたが、神戸の打球は1年の時からそのネットを越えたからビックリです。あの飛距離は天性のものです」(高野監督)
甲子園出場の夢はかなわず、実家に程近い流通経済大学へ進学。野球部のセレクションでは右翼フェンス先の高さ10メートルのネットを越え、さらに30メートル以上先にある駐車場まで打球を飛ばした。推定飛距離150メートルの特大ホームランで監督たちの度肝を抜いた。
「流経大への進学は、グラウンドが神戸の地元(茨城県牛久)にあったからですが、それより神戸が土浦日大高入学時の監督だった菅原(進)さんの強い意向だった。神戸の父親は菅原さんが竜ケ崎一高の監督時代の教え子でね。菅原さんが流経大への進学を勧めて、神戸親子はその助言に従ったようです」(関係者)
母校の土浦日大は日本大学の付属高。日大の鈴木監督も早くから神戸のパワーに目をつけ、高校3年時には「ぜひうちに来い」と勧誘したという。「昨年、鈴木監督に会ったときに言われましたよ。神戸が日大にきていれば、私がもっといいバッターに育てた。もっと高い契約金(実際は7000万円)がもらえたはずだったと(笑い)」(前出の高野監督)
神戸のパワーに惚れ込んだバレンタイン監督は、出番を増やそうと外野と一塁の両方を守らせている。年俸1050万円のパワフルヒッターは、今季の一軍デビューは間違いない。
▽こうべ・たくみ 1985年2月23日、茨城県生まれ。土浦日大高―流通経済大から06年大学・社会人ドラフト3巡目でロッテ入り。東京新大学リーグでは、最優秀新人、ベストナイン5回、最多本塁打3回、最多打点1回など多くのタイトルを獲得。大学通算40本塁打。191センチ、98キロ。右投左打。
神戸もこういうところで取りあげられるようになったかー。