ヒーローになっても成瀬「満足できねぇ」
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ヒーローに笑顔はなかった。“無敵左腕”ロッテ・成瀬が目指す高みは、まだ先にある。9回6安打2失点の完投勝利にも「今日はヒドかったな」。わき上がる感情を胸の奥に抑え、静かにつぶやいた。
自慢の制球が定まらず、二回一死三塁、小谷野に真ん中に入ったチェンジアップを中前に運ばれ先制点を献上。勝ち越し後の六回は、逆球の内角直球を田中に右翼席へ運ばれる同点弾を浴びた。
成瀬には負けられない理由がある。「最初が日本ハム戦なのはいいですね。あの悔しさを晴らしたい」。昨季のCS第2ステージ第5戦で、涙の敗戦を喫した因縁の地・札幌。「(終盤は)スイッチが入った」と六回まで1個も取れなかった三振を七回には三者連続で奪った。昨季に防御率、勝率の“2冠”の意地が爆発した。
公式戦では一昨年からシーズンでのパ・リーグ相手に16連勝、日本ハム戦は通算5戦5勝と快記録が並んだ。だが「満足できる投球じゃなかった。悔しさは晴らしていない」と、“真のリベンジ”を次回対戦に持ち越した。「1年で終わるような投手にはなりたくない」。
前日、漫画「ミナミの帝王」を手にした。貧困からのし上がる主人公に自身を重ね、“反骨心”を研ぎ澄ました。「投げる試合は全部勝っていく」。その言葉を実現したとき、“球界の帝王”への道が開かれる。
ミナミの帝王ネタ取り上げられすぎ。