ロッテが逆転サヨナラ勝ち! 派手さの裏に基本の打撃
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派手な逆転サヨナラ勝ちの裏には、地味で、基本に忠実な打撃があった。
1点を追う九回無死二塁。ベニーが二ゴロで三塁に走者を進めた。長打が持ち味の打者のコンパクトなスイング。この「自己犠牲」にロッテベンチは沸き、マウンド上のニコースキーは重圧を感じていった。
左腕の動揺は明らかだった。コーナーを突こうとし、逆にはっきりと分かるボール球が増える。連続四球で満塁。これを次打者の田中雅は冷静に洞察していた。「変化球でストライクが取れなくなっていたから、直球がくるだろうな、と。変化球がいいところにきたなら、仕方ないと腹をくくった」
四球の直後、1ボール後の2球目。ストライクを欲しがる投手心理を突き、狙っていた直球を左前に運んで試合を振り出しに。最後は二死満塁から西岡がプロ初のサヨナラ打を放ったが、同点の時点で既に大勢は決していたように見えた。
勝因は相手の自滅ともいえる。だが、節目節目では「必然の勝利」を呼び込む要因があった。バレンタイン監督は「勝ってしかるべき試合だった」。開幕から得点力を欠く打線にとって、勢い以外の要素で点を取る教訓も詰まっていた。
★二重の役割果たす勝負強さ
6年目でプロ初のサヨナラ打を放った西岡は「チームとファンの(声援の)勢いが一致した」。詰まりながらも、しぶとく左前に落とした当たりに、胸を張った。
直前のサヨナラ機に、同学年で仲がいい早坂が凡退。さらに西岡の3番は、不調で2軍落ちしている福浦の指定席。「(早坂を)何とかカバーしたい、という思いが強かった。福浦さんが戻ってくるまでは、3番を守りたい」。二重の意味で中軸の役割を果たした勝負強さに、満足げだった。
◆大松(九回に代打で二塁打)
「(久米からニコースキーに)代わるとは思っていなかった。次打者席で、イメージし直しながら準備していた」
◆渡辺俊(七回途中4失点)
「簡単に初球を本塁打された。もったいない。悔いが残る」
よくこのチーム状態で勝ち越したよ。