■解説者コメント 栗山英樹
ロッテが1点を先制した直後の2回裏、稲葉・スレッジを抑えた場面に唐川の特徴がよく表れていた。点を奪われたくない状況で中軸の打者を迎え、稲葉に対して外のチェンジアップを引っ掛けさせてセカンドゴロに打ち取ると、スレッジに対しても4球全て外角の配球。稲葉に投じたボールとは球種は違うが全て外の球。外一辺倒の配球になっても、さらに外のボール球を使って、外を上手く活かして外の球で打ち取れる。これが唐川の1つの投球スタイル。若いのに、どの球種でもストライクが取れて、決め球に出来るからこそ、外角だけで勝負する事が出来る。本来、外の甘い球は怖いボールなのだが、アウトコースの出し入れで、上手く勝負が出来る。同じコースなのでフォームも同じだし、リリースポイントも非常に微妙な違いしかないので、それだけ安定感が増して、失投が少なくなる。これこそ唐川の特徴だろう。5回稲葉にソロ本塁打を打たれた直後もそうだ。0-3というカウントになりながらも、スレッジ・小田という中軸の打者に対し、原点の投球である外角で落ち着いて打ち取る事が出来る。外一辺倒で封じ込めるという事は、長打を打たれる危険が少ない、リスクを負わない勝負が出来る。3回先発して3回安定した投球を見せた唐川の安定感は既に新人とは呼べないものがある。
稲葉に同じ球続けたのは不敵だったな。